平成17年12月定例会の「紀の国森づくり条例」「紀の国森づくり基金条例」の提案に対する賛成討論(全文)

 私は、提案されている「紀の国森づくり税条例」と「紀の国森づくり基金条例」に、賛成の立場で討論に参加させていただきます。
 今回の「紀の国森づくり税条例」と「同基金条例」について、多くの皆様に、水源の大切さ、県土保全の大切さ、森林の大切さや森林の持つ公益的機能の大切さについて、ご賛同を賜るものです。  県民の理解と協力について問題点も指摘されたところですが、私は私の立場で、今どうしても県民の皆様に本県の森林整備に応分の負担を賜りたいと、議員諸兄に協力をお願いするものであります。
 私の選挙区に有田都静水町があります。県議会議長として5期19年の間、極力農林水産委員に留まり、林業活性化に向け日々取り組んでまいりました。しかし、20年前の清水町と現在の清水町を比べますと、林業の不振に歯止めがかからず、森林は荒廃し、自分自身の力のなさを痛感する一人です。
 皆様は、森林の持つ公益的機能の大切さは十分わかっていることと思います。水道の蛇口をひねれば水が出る、それが飲める、それが当たり前のこととなっていないでしょうか。今、漁業にたずさわる人々が梅を守るために、自分たちで応分の負担をして山に木を植えています。私達も、森林から受けている恵みを当たり前のこととはせずに、自分たちで応分の負担をして、この恵みを与えてくれる森林を守らなければならないのではないでしょうか。
 ”森林からの恩恵を享受している県民全体が、森林を県民共通の財産であると諷誠し、森林づくりを県民全体で取り組んでいくことが必要であり、広く薄い負担で、県民の皆様の関与や参加をお顧いする意味で、今般「紀の国森づくり税」を導入する”、とした「紀の国森づくり税の提案趣旨は、時宜を得たものであり、反対は少ないと思います。
 県当局も、森林整備には「線の雇用」などにより積極的に取り組んでいるとの答弁がありましたが、清水町の例をあげるまでもなく、まだまだ間伐等の手入れがなされないままの真っ暗な森林が数多く見受けられます。
 森林の保全は、国が責任を持って施策展開を図るべきだ、との意見がありますが、管理を放棄した荒廃森林に起因する水資源の枯渇や洪水、土砂災害の問題は、台風被災地に見られたように、下流域の住民の生活、時として生命財産に多大な影響を与えるものであり、本県での昭和28年の大水害を想起する人も多いのではないでしょうか。
 また、奥山の人工林だけではなく、集落周辺の森林の管理放棄や竹林の荒廃が進み、里山の農地での鳥獣被害の拡大、竹林拡大による農地の荒廃など、「里山林」の荒廃も大きな問題となっています。
 森林の管理を所有者に義務づけよ、という意見がありますが、国産材需要の低迷と木材価格の下落は、所有者の林業意欲を減退させ、なかなか将来を見据えた育林等の森林管理には、手が回らないのもやむを得ないと思います。
 森林環境税については、林野庁の調べで現在38の都道県において議論が進められ、その中で既に高知県をはじめとして全国で14県での導入決定がなされています。
 奈良県では、平成18年度からの導入を決定しており、紀ノ川上流の水源地の森林整備を図ろうとしています。本県も奈良県とともに、紀ノ川流域の森林環境の整備に努める必要があろうかと存じます。
 今日、地方分権の流れの中で、自己決定や自己責任の観点から、地域の課題は地域で、とするスタンスが求められています。その意味で「紀の国森づくり税」は、森林に関するものではありますが、県民一人一人が身近な問題解決に対することへのきっかけとなるものです。
 県民の関与と参加の仕組みができれば、新しい自治の実現という点からも、「紀の国森づくり税」の導入は、大きな意義があるものと考えます。是非、皆様のご賛同を賜りますようお願いします。
 最後に、自由民主党県議団や提出者におきましては、県民各界各層への説明を実施し、ご意見を聞いてきたところですが、条例の可決推進に対しても数多くのご意見、ご期待をいただいていることも事実であります。特に、県下でも人口規模の小さな、山間地域からの切実な願いが込められた声であります。同僚議員各位には是非ともその小さな声にも耳を傾け、しかもそれが将来には大きな県益にもつながるものと思いますので、ご賛同賜りますよう重ねてお願いをして、私の賛成討論といたします。


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