「紀の国森づくり税」って何?

目次

1 紀の国森づくり税を導入しようとする日的は何ですか。
2 紀の国森づくり税の使途は何ですか。
3 森林の管理は、その所有者の責任で行うべきではないのですか。
4 紀の国森づくり税の課税の方法はどのように考えているのですか。
5 個人の税負担額はどの程度ですか。
6 県民税均等割の超過課税方式によると、所得水準に関わりなく一律に課税されますが、所得の少ない方等に対しては、どのような配慮がされていますか。
7 法人の税負担額はどの程度ですか。
8 税収額はどの程度ですか。
9 実施期間はどの程度ですか。
10 なぜ、平成17年12月定例会に条例を提出し、平成19年4月施行なのか。
11 基金は設置する予定ですか。
12 全国の導入状況はどのようなものですか。
13 国が導入を検討している環境税との関係について、どのように考えているのですか。
14 県民への説明、意見聴取はどのようにしたか。
15 税導入は、本県経済への影響はどのようなものか。
16 紀の国森づくり税の税収規模が、2.6億円程度と思われますが、無駄遣いを徹底的に検証すれば必要な事業費は確保こできるのではないか。

(紀の国森ゴくり税導入の目的)

1 紀の国森づくり税を導入しようとする目的は何ですか。

A 本県の豊かな森林は、林業経営の中で適切に管理が行われてきました。

しかし、林業経営を巡る厳しい状況の下で、間伐等の森林整備が十分に行われなくなっており、森林の荒廃が進んでいます。
もはや林業経営者のみの努力では、森林の公益的機能を守ることが困難な状況となっています。
そこで、紀の国森づくり税は、従来の森林・林業振興施策に加え、この税収を活用した森林環境を守るための新たな施策の展開を図るほか、その取組を通じて県民意識の一層の高まりを期することを目的としています。

(紀の国森づくり税の使途)

2 紀の国森づくり税の使途は何ですか。

A  税収の使途については、事業効果が広く.県民に及ぶ公益性を重視するとともにこ県民からみてわかりやすい施策に充当することが必要です。

使途の例としては、県民みんなが森林や木材に対する理解を深めるため、 テレビ、ラジオ等でのPRやシンポジウムの開催など、県民への普及活動などのソフト事業と都市近郊等の里山林や世界遺産周辺の森林整備、地域住民の生活を守る森林整備など、管理を放棄した森林の環境整備のためのハード事業が上げられます。
税の使途に当たっては、基金の運営委員会で議論をし、透明性、公平性のもと情報提供を行い、県民の理解を得ながら進める必要があります。
ソフト事業
○テレビ、ラジオ、ホームページ、啓発パンフレットなどを介しての森林の現状、森林管理の重要性などの情報発信
○県民の森林への理解を深めるための、森林体験イベントや森林に関するシンポジウムの開催、子供たちへの森林環境教育などの実施
○環境に優しい循環型資源である木材の利活用の推進
などが考えられます。

(税収使途と森林所有者の責任)

3 森林の管理は、その所有者の責任で行うべきではないのですか。

A これまで森林は、林業経営により適切に整備が行われ、その結果として私たちは森林から様々な恩恵を受けてきました。しかし、近年の林業経営を巡る厳しい状況の下で、間伐等の森林整備が十分に行れず、森林の荒廃が進んでいるのが現状です。

このような状況から、森林の持つ多様な公益的機能に着目して、その機能維持増進を図り、森林を健全な状態で将来に伝えていくためには、環境資源として保全するため県民全体の取組を進めることが必要と考えます。

(課税方式)

4 紀の国森づくり税の課税の方法はどのように考えているのですか。

A 施策の事業効果は広く県民に及ぶものであることから、広く公平に、基本的に等しく負担していただくという課税の仕組みが適当と考えます。

施策の目的や課税事務のコスト面等から考えると、県民税均等割超過課税方式が適合性が高いものと考えます。
さらに、個人県民税均等割では、生活保護受給者や低所得者の障害者等について非課税措置が設けられており、超過課税の場合も低所得者等への配慮が可能となります。【別添資料】

(個人の税率)

5 個人の税負担額はどの程度ですか。

A 森林の持つ公益的機能は、広く県民が享受しているとこるであり、特に本県は森林県として環境保全が県政の重要課題であり、今後とも県内どの地域においても、拡充した施策を展開していく必要があることから、慎重に審議したところ個人県民税均等割の超過税額500円(月額約42円)のご負担をお願いしたいと考えます。

税率 納税義務者数 税収総額
500円 413,718人 206,859千円

(所得の少ない方等への配慮)

6 県民税均等割の超過課税方式によると、所得水準に関わりなく一律に課税されますが、所得の少ない方等に対しては、どのような配慮がされていますか。

A 新税の導入に際しては、県民税均等割の超過課税方式によることが適当とされています。

このため、
1.生活保護による生活扶助を受けている方
2.障害者、未成年者、寡婦又は募兵で前年中の合計所得金額が、一定額以下の方
3.前年の合計所得金額が市町村の条例で定める金額以下の方については、現行の非課税措置が適用されることになります。【別添資料】
*老年者(65歳以上)で前年中の合計所得金額が、一定額以下の方については、地方税法の改正により、従来の非課税措置が平成18年度より段階的に廃止されます。
変更後の税額一覧表

  平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度以降
生計同一の妻の均等割額(年額) 500円 1,000円 1,500円 1,500円
  既存分 500円 1,000円 1,000円 1,000円
  紀の国森づくり税分   500円 500円
前年の合計所得金額が125万円以下で、かつ平成17年1月1日現在65歳以上であった者の均等割額(年額)   300円 900円 1,500円
  既存分   300円 600円 1,000円
  紀の国森づくり税分   300円 500円
上記以外の均等割額(年額) 1,000円 1,000円 1,500円 1,500円
  既存分 1,000円 1,000円 1,000円 1,000円
  紀の国森づくり税分   500円 500円

(法人の税率)

7 法人の税負担額はどの程度ですか。

A 先進県において、最も多く採用されている現行の法人県民税の標準税率の5%相当額(1干円から4万円)のご負担をお願いしたいと考えています。

資本等の金額税 納税義務者数 現行税率 5%相当額 税収総額
50億円超 536 80万円 4万円 21,440千円
10億円超~50億円以下 292 54万円 2万7千円 7,884千円
1億円超~10億円以下 604 13万円 6千5百円 3,926千円
1千万円超~1億円以下 13,512 5万円 2千5百円 8,765千円
1千万円以下 18,450 2万円 1千円 13,512千円
  55,527千円

(法人の税率)

8 税収額はどの程度ですか。

A 課税方式を県民税均等割の超過課税方式とし、税率を個人については年額500円、法人については現行の法人県民税均等割額5%相当額として試算すると、約2億6千万円になります。(平年度の見込み)

税目 税収総額
個人県民税 206,859千円
法人県民税 55,527千円
262,386千円

(実施期間)

9 実施期間はどの程度ですか

A 社会経済情勢やこの税に係る財政需要は、時とともに変化するものであり、一定期間後の見直しが必要であり、5年程度とすることが適当であると考えます。なお、5年後に負担のあり方、使途、あるいは基金システムの見直しを行うことが望ましいと考えます。

10 なぜ、平成17年12月定例会に条例を提出し、平成19年4月施行なのか。

A 森林施業が行われず、このままの状態を放置すれば、荒廃森林が増加し、健全な森林の姿を取り戻すためには、より多大の努力が必要となります。

1年でも早く、県民みんなが森林環境保全の大切さに気づいていただき、ボランティア国体をはじめ、県民みんなの力で一日も早く健全な森林の育成に取り組まなければならないと考えます。

(基金の設置)

11 基金は設置する予定ですか

A 超過課税による税収は、森林環境保全のための財源という位置づけを明確にするため、一般財源ではなく、基金として運用していく必要があります。

このため、平成17年12月定例会において、紀の国森づくり税条例に併せて紀の国森づくり基金条例を制定したところです。

(全国の状況)

12 全国の導入状況はどのようなものですか。

A 導入済み 14県

導入予定 岩手県、静岡県、宮崎県(いずれも平成18年4月導入予定)
検討中 26都道府県
その他 4県
森林環境税導入済状況

都道府県名 導入開始 個人:税率 法人:税率 税収総額
福島県 平成18年4月 1000円 10% 10.0億円
神奈川県 平成19年4月 均等割 300円
所得割 0.032%
38.0億円
滋賀県 平成18年4月 800円 11% 6.0億円
兵庫県 平成18年4月 800円 10% 21.0億円
奈良県 平成18年4月 500円 5% 3.0億円
鳥取県 平成17年4月 300円 3% 0.9億円
島根県 平成17年4月 500円 5% 2.0億円
岡山県 平成16年4月 500円 5% 5.2億円
山口県 平成17年4月 500円 5% 3.8億円
愛媛県 平成17年4月 500円 5% 3.2億円
高知県 平成15年4月 500円 500円 1.4億円
熊本県 平成17年4月 500円 5% 4.2億円
大分県 平成18年4月 500円 5% 2.9億円
鹿児島県 平成17年4月 500円 5% 3.8億円

(環境税との関係)

13 国が導入を検討している環境税との関係について、どのように考えているのですか。

A 国において、現在、環境税として議論されている内容は、地球温暖化防止のため、京都議定書で定められた国の二酸化炭素の削減日標6%の目標達成に向けて必要となる費用に充てよぅとするものです。

具体的な方向としては、化石燃料と電気を課税対象とし、家庭やオフィスなどで行う地球温暖化防止への対策等とあわせ、森林の整備や保全への支援にも活用しようと、環境省が中心となって検討されていますが、まだ国としても、導入の是非を判断する段階に至っているものではありません。

(環境税との関係)

14 県民への説明、意見聴取はどのようにしたか。

A 自由民主党県議団としては、平成15年度から森林環境税の研究を重ね、平成17年4月に和歌山県議会自民党県議団森林環境税懇話会を発足し、各分野の有識者の皆さんに議論を深めていた得きました。

その経過につきましては、8月の中間報告書受理時には、記者発表を行い、その内容を自由民主党県議団のホームぺ-ジに掲載すると共に、県民の皆様のご意見をいただけるようホームぺ-ジ上に意見募集欄を開設し広く意見を伺いました。
また、11月の最終報告時にも記者発表すると共に自由民主党県議団のホームぺ-ジ上に掲載公表しているととろです。
10月には、「みんなの森づくり」シンポジウムも開催し、多数の参加者に森林環境保全を訴えると共に、森林の大切さをご理解をいただいたと思っております。
また、シンポジウムの参加者には、森林環境問題やそれを保全するための税負担額の是非等についてのアンケート調査を実施し意向の鯛査を行いました。
ー方、県下の市町村議会の説明等については、自由民主党県議団において、各市長村議会のご理解をいただくべく説明に努めて参りました。
これらの、活動を通じ県民の皆様方への周知を図ってきたところです。

(税導入の影響)

15 税導入は、本県経済への影響はどのようなものか。

A 森林は、県土の保全、水源のかん養など多面的かつ公益的な機能を有しています。将来にわたってそれらの機能を維持・増進していくことは県政の重要課題であります。

しかし、木材価格の長期にわたる低迷や山村地域の過疎化等により、間伐等の不十分な森林が増加しています。そのことにより県民みんなが享受している森林の公益的な機能の発揮が危ぶまれています。森林を県民みんなの財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的に、森林環境の保全及び新たな施策に取り組むため、今般この税を導入したところです。
税率については.本県の径済状況等を配慮し税額を設定致しましたので影響は小さいものと考えています。

(税導入の影響)

16 紀の国森づくり税の税収規模が、2.6億円程度と思われますが、無駄遣いを徹底的に検証すれば必要な事業費は確保こできるのではないか。

A 国・地方を通じて財政状況が一層厳しくなる中、森林の荒廃状況から、森林環境を保全するための新たな施策の展開が必要となっており、このためには、新たな財源を求めざる得ない状況となっています。

紀の国森づくり税に対し、幅広い県民の理解をいただけるよう、行財政改革の一層の推進に向け最大限の取組を行っていく必要があると考えています。


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